東京マラソンは、大学生の堀尾謙介選手が優勝し、東京オリンピックの出場をかけた「MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)」への出場権をゲットしました。
今回の東京マラソンは、寒さとペースメーカーの問題などあったようなので、その辺りの事情と、東京オリンピックの代表選考レース「MGC」についてまとめました。
日本人1位は初マラソンの堀尾謙介
今回の東京マラソンの優勝は、堀尾謙介選手です。
5位でタイムは2時間10分19秒、日本人ではトップです。
堀尾謙介(ほりおけんすけ)選手は現在22歳。
中央大学の4年生です。
今回が初マラソンでしたが、東京オリンピックの代表選考レース「MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)への出場権を大学生で初めてゲットしました。
堀尾謙介選手は、今年の箱根駅伝に出ていて、「花の2区」を走り5位という成績でした。
箱根の後、この時期にマラソンに出て記録を残すのは大変だと思いますが、おそらく東京マラソンを視野に入れて準備していたのでしょう。
堀尾選手自身、スピードよりも長距離が持ち味なので、それが生かせるのはマラソンだと思っていて、2時間10分を切る練習をしていたそうです。
元マラソン選手で、現在日本陸連マラソン強化戦略のプロジェクトリーダーを務める瀬古利彦さんも、短い期間でこの成績をおさめた堀尾選手のことをセンス抜群と言っていました。
最強のメガネランナー
堀尾選手は、今回メガネを新調して臨んだそうです。
使用したメガネは約4万円のもの。
Twitterの自己紹介には「最強のメガネランナーになる」と書かれていますが、その通りになりましたね。
小学3年生の頃からメガネがトレードマークで、コンタクトしたときに誰だか分かってもらえなかったので、ずっとメガネで通しているそうです。
東京マラソンは寒かった!
スタート時の気温は4.8℃、天候は雨です。
レース前日の天気予報でも雨の予報は出ていましたが、予報より早く降り始めて、スタート時点ですでに雨が降っていました。
このくらい気温が低くて雨も降っていると、体温が奪われてしまいます。
瀬古さんのお話によれば、レース終盤で全身の筋肉が動かなくなって、タイムが2,3分遅くなるそうです。
日本のエース大迫傑選手(27)が、今回も新記録を出すのではと期待されていましたが、寒さで29㎞付近で途中棄権となりました。
大迫選手は、スタートのときから寒かったと言っていました。
「ペースメーカー」が速すぎた
マラソンの先頭集団には、タイムを設定して走るペースメーカーがいます。
選手ではなく、仕事としてお願いしていて、何人かで交代で走ります。
今回の東京マラソンのペースメーカーの設定は次のようになっていました。
・1㎞:2分57秒~58秒
・想定タイム:2時間4分29秒~5分11秒
これは大迫選手の日本記録(2時間5分50秒)を上回る設定です。
ペースメーカーについて行くことで上位を目指せますが、無理してこのペースについて行くことで、自分のペースを乱してしまう場合もあります。
今回の東京マラソンの実際のペースメーカーは、1㎞を2分48秒のペースでした。
予定より10秒も早かったのです。
今回堀尾選手は、この早いペースに無理してついて行くことをせず、自分のペースで走ったことがよい結果につながったようです。
特別強化プロジェクトで日本新記録連発!
最近「日本新記録」と耳にすることが多くないですか?
東京オリンピックに向けて、マラソンの特別強化プロジェクトが行われています。
メダル獲得を目標に2015年にスタートしたもので、「日本実業団マラソン特別強化プロジェクト」というものです。
日本記録を更新すると選手にはなんと1憶円の報奨金がでます。コーチにも5000万円でるとのことで、コーチにも報奨金が出るのは珍しいそうです。
これはモチベーションが上がりますね。
その甲斐あってか?
去年の東京マラソンでは、設楽悠太さんが2時間6分11秒で16年ぶりに5秒短縮、その8か月後、10月にはシカゴマラソンで大迫選手の2時間5分50秒と、短期間のうちに記録が塗り替えられています。
「MGC」とは
「MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)」は、オリンピック出場選手選考レースです。
2019年9月15日(日)に開催が決まっています。
東京オリンピック出場選手の選考
東京オリンピックのマラソン代表の選考方法が大幅に変わりました。
今までのような一発選考ではなく、「MGC出場権獲得レース」と「MGC本線」の最低でも2つの大会で結果を出すことが求められます。
以前は、オリンピック直近の約半年間に行われる4レースの結果から、出場選手3名を決めていましたが、それをやめ大改革を行ったのです。
マラソンのオリンピックの成績はここのところ低迷しています。
男子のマラソンがメダルを獲ったのは、1992年バルセロナオリンピックで森下広一選手が獲った銀メダルが最後です。
女子のメダルは、2004年アテネオリンピックです。
野口みずき選手の金メダルが最後で、その後8位入賞者も出ていません。
そこで「MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)」というレースが新設されました。
「MGC」は、メダル獲得を目指して新設した、東京オリンピック出場選手の選考レースです。
「MGC出場権獲得レース」
「MGC」に出場できなければ、オリンピック選手にはなれません。
この「MGC」に出るための出場権をかけたレースが、2017年夏以降の約2年間にわたって行われています。
「MGC」に出場するための予選のようなものですね。
東京マラソンは男子の「MGC出場権獲得レース」です。
現在「MGC」への出場が決まっているのは、2019年3月4日現在男子28人、女子9人の選手です。
MGCの特徴
「MGC」本線の特徴です。
外国人選手は不参加
東京オリンピックの日本人代表を決めるレースなので、外国人選手の参加はありません。
MGCの出場権がある選手だけが参加します。
なので、もしMGC参加資格がある選手が10人しかいなければ、10人でレースをします。
ペースメーカーがいない
オリンピックではペースメーカーはいません。
実際のオリンピックレースに近い環境を作るため、MGCでもペースメーカーは不在です。
最初から最後まで自分でレースを組み立てて走るので、かけひきが重要になります。
コースがほぼ東京五輪と同じ
コースは東京オリンピックのコースに近いそうですが、国立競技場は今建設中のため、スタートとゴールは明治神宮外苑のいちょう並木になるそうです。
「MGC」本線日程
オリンピック出場選手選考レース
2019年9月15日(日)
午前9時台スタート予定
オリンピック代表の選考方法
東京オリンピックに出場できるのは、男女とも3枠です。
この3枠がどのように決まるのか、簡単にご説明します。
①MGC優勝者
「MGC」の優勝者はオリンピック代表となります。
②MGC2位か3位
次に「MGC」の2位か3位ですが、どちらかが過去に2:05:30を切る記録を持っていた場合、その記録を持っている人がオリンピック代表になれます。
例えば、MGCが2位でも、3位の人が過去に2:05:30を切る記録を持っていれば、3位の人が選ばれます。
③MGCファイナルチャレンジ最上位記録者
MGCの後に行われるレースで、設定タイム(2019年5月に決定)を超えている人が選ばれます。もし設定タイムを超える人がいなけければ、②から選出されます。
以上の3つでオリンピック代表が決まります。
複雑なように感じますが、以前の4レース結果から決めるよりも明確かなと思います。
またMGCはコースもほぼ一緒ですし、オリンピック代表選考となれば盛り上がることでしょう。
選手にとって一番力になるのは歓声、応援だそうです。
どの選手にも、悔いのないように頑張ってもらえるよう、応援したいです。