2019年11月、ネットニュースにとある記事が掲載されました。
それは、サニブラウンプロ転向という見出しでした。
サニブラウンは日本人2人目の9秒台、9.97を出した現100m日本記録保持者です。
ガーナ人とのハーフである彼は、現在アメリカ大学スポーツ界であるフロリダ大学に通っています。
現役の大学生がプロ転向宣言をすることは日本では珍しいことですが、果たしてアメリカの大学スポーツ事情はどうなのでしょうか。
今回は、サニブラウン選手の生い立ちや、東京オリンピックへ向けての展望を書いていこうと思います。
日本人陸上選手のルート
今までの日本人陸上選手は、日本の高校、大学を卒業し、その後日本の実業団に所属して競技を継続していくというパターンが一般的でした。
そして、近年ではマラソン選手の他に、短距離選手でもプロ選手が誕生しています。
具体的には、日本人で初めて9秒台を記録した桐生祥秀選手や、ケンブリッジ飛鳥選手がいます。
桐生選手を例にすると、桐生選手は洛南高校から東洋大学に所属し、現在日本生命とプロ契約を結び活動しています。
このように、日本選手でもどこかの企業に籍を置きながら、プロ選手として活動することは近年でてきましたが、今回のサニブラウン選手のケースは、大学生がプロ契約するという内容です。
それは一体どのようなものなのでしょうか。
日本と米国の大学スポーツの違い
日本社会で育った人が、この表現に疑問をもつのはある意味当然かもしれません。
この疑問を解決するには、まず米国の大学スポーツを理解することから始めなければなりません。
日本の大学において、陸上部の監督という人は、通常大学教授や大学職員との兼務が多いですが、米国の場合は全く異なります。
高校、大学と米国では陸上競技専門のコーチを大学側が雇っています。
なので、陸上部のコーチは陸上のことだけを行う専門家だということです。
つまり、陸上のコーチも大学という枠組みに囚われないプロということです。
このような米国の現状を踏まえるとサニブラウンがプロへ転向するという意味が分かってくると思います。
米国でプロになるということ
上記で述べたように、米国ではたとえ大学生といえど、知名度や期待値などが選手に大きければプロになることが、日本より容易であるということが伺えます。
もちろん、「容易」という言葉には簡単という意味も含まれますが、お金が簡単に手に入るということでないことはご理解ください。
では、サニブラウン選手はどのような形でプロになるのでしょうか。
もうすでに発表されている内容としては、スポーツマネジメント会社がサニブラウン選手と契約を結ぶことが発表されています。
そして、現日本記録保持者という冠がありますので、シューズメーカーからの衣類品等の提供などももちろんあるでしょう。
では、問題のコーチはどうするのか。
こちらの発表はまだされていないですが、おそらくフロリダ大学のコーチと専属契約を結び陸上指導を仰ぐことになると推察されます。
よってプロ契約しても米国の場合、全米体育協会主催の試合には出場できなくなりますが、専属的にコーチが指導し、学業は学業でフロリダ大で学んでいく形になるのではないでしょうか。
プロ転向と2020年東京オリンピック
ではサニブラウン選手がプロへ転向することで、どのようなメリットあるのでしょうか。
1つは、海外レースへの参戦が可能だということです。
プロへ転向することにより、スポンサー料などの資金面でも潤沢になり、よりハイレベルなレースに参加できる環境が整うというメリットがあります。
国際大会の100mで、自分より格上の選手を相手にして結果を出すためには、大舞台でいかに自分の走りに集中できるかというのがカギになります。
そのため、いかに普段のシーズンから各上の選手と走ったか、というレース経験が非常に大事になります。
今回の決断は、東京オリンピックや将来に向けて非常に有効な決断だと思います。
ぜひサニブラウン選手には、日本人初の100mのメダリストになってほしいと思います。
前回の世界陸上でも、スタートさえ失敗しなければ決勝進出は十分可能でしたので、ぜひサニブラウン選手には活躍してほしいと思います。