10月6日までカタール、ドーハで行われていた世界陸上。
アメリカやジャマイカなどの国が世界の短距離界を席巻していますが、近年の日本短距離陣の活躍は目覚ましく、今回の世界陸上でも男子4×100mリレーが見事銅メダルを獲得しました。
今回は、世界陸上ドーハ2019年男子4×100mリレー決勝の結果と総括を走順ごとに書いていこうと思います。
予選、決勝ラウンドの記録と走順について
・男子4×100mリレー 予選 小池、白石、桐生、サニブラウン
37秒78 2組2着(着順で決勝進出)
・男子4×100mリレー 決勝 多田、白石、桐生、サニブラウン
37秒43 3着 日本新記録・アジア新記録(銅メダル獲得)
決勝走順 1走 多田修平
予選と決勝でメンバーを変更し臨んだ決勝の1走は、住友電工所属の多田修平選手でした。
学生時代、追い風参考記録ながら9秒台をマークした選手です。
予選では、多田選手と同じ住友電工所属で日本人3人目の9秒台を記録した小池祐貴選手を起用しましたが、唯一リレーメンバーの中で100m、200mに出場し、疲労度が高いと判断し組み替えたとされています。
そして、多田選手の特徴の一つとして、世界に通用するスタート技術の高さがあります。
2年前の川崎で行われたゴールデングランプリでも、中盤までアメリカのトップ選手であるジャスティン・ガトリンをリードしていました。
リレーは通常の100mと異なり、加速に必要なオーバーゾーンを使用することができ、第一走者の疾走区間を短くすることができます。
このような利点を利用し、多田選手を1走に起用しました。
決勝レースも予想通り、強豪国のアメリカ、イギリスと並んでバトンを渡すことができました。
決勝 2走 白石黄良々(きらら)
第2走者は最近力をつけている白石選手でした。
白石選手の本職は200mで、個人の200mでも世界陸上の参加標準記録を突破し、男子200m出場しています。
通常リレーでは、助走区間であるオーバーゾーンを広く利用するのですが、3走は疾走区間がコーナーのため、疾走区間が長い2走がどこまで差をつけられるかがカギとなります。
日本チームは多田選手からのバトンをスムーズに白石選手が受け取り、差を広げることに成功しました。
決勝3走 桐生義秀
3走は100mのベストタイム9秒98の桐生選手です。
桐生選手はサニブラウン選手に次ぐ100mのベストタイムを保持しています。
通常だと2走で起用するのが定理なのですが、桐生選手は世界一のコーナーワークを持っていることで定評があります。
ここで一気に先頭のアメリカとの差を詰め、アンカーのサニブラウン選手にバトンをつなぎました。
決勝 4走 サニブラウン・アブデルハキーム
アンカーは9秒97の100m日本記録保持者のサニブラウン選手です。
アメリカに次ぐ第2位でバトンをもらったサニブラウン選手は、イギリス選手にかわされたものの3位でゴールし銅メダルを獲得しました。
アンカーには当然、各国のエースを揃えてくるのですが、サニブラウン選手は中盤から後半にかけてうまく疾走することができまた。
37秒43のタイムは2年前の優勝タイムに匹敵するレベルでした。
今回のリレーのタイムで確実に金メダルを獲得できるはずでしたが、世界のレベルも上がっていることが散見されます。
東京オリンピックでの金メダル獲得には、もう一段階個人のレベルをあげることが必要です。