紆余曲折あり、東京オリンピックが開催されています。
オリンピックの花形種目である男子100m、直前の試合で9.95の日本新記録を出した、山縣亮太選手を始めとし、日本選手権の覇者多田修平選手、同じく9秒台の小池祐貴選手が出場し、過去最高レベルの日本代表選手がまさかの予選敗退。
果たして、その理由はなんだったのでしょうか。
私なりに考察してみました。
コロナの影響
大きな理由の一つとしては、やはり新型コロナウィルスの世界的パンデミックがあると推測されます。
新型コロナウィルスの感染が拡大してから、すでに1年半近く経とうとしています。
コロナウィルスの蔓延は我々の日常生活はもちろんのこと、陸上選手にも大きな影響があったと考えられます。
今回100mの代表になることができなかったサニブラウン選手や桐生選手といった、日本を代表する選手達はヨーロッパやアメリカの海外レースで経験を積んできました。
彼らは日本国内や海外を練習の拠点としていますが、アメリカや欧州で開催されるレースを転戦し自分達よりも足の速い選手達と走ることで実力をつけてきました。
しかし現在、我々一般人はおろかスポーツ選手でも海外への渡航は厳しく制限され、レース自体も開催できないような状態が続いています。
欧米の選手達は、もともとの国内レースのレベルが高いため、日本人選手と欧米の選手とのレース感の違いが如実に出てしまったのが、今回のオリンピックだったと思います。
スタートダッシュ
今回東京オリンピックの代表選考レースである日本選手権を見ていても、9秒台の選手が挙って、いまひとつ調子が上がってきていませんでした。
また日本選手権で優勝したのは、自己ベストが10.01で持ちタイムが決勝に進出した中で5番目だった多田修平選手でした。
多田修平選手の持ち味は、スタートダッシュです。
決勝レースでは、前半に多田修平選手が抜け出し、そのままゴールする形になりました。
これは、後半型の選手達が前半に先行され焦って力んでしまったのが敗因の一つだと言われています。
これと同じことが、今回のオリンピックで起こったと考えられます。
つまり日本代表として100mを走った小池選手、山縣選手、多田選手の三選手より、持ちタイムが速い選手が前半に抜け出し、この1年半近くレースで相手に先行されるような展開を経験していなかった日本の選手達は焦ってしまい、力んで疲れて、いつものように後半に巻き返すことができず、失速しそのままゴールする形となりました。
【過去の記事】
・日本男子リレー強さの秘密・アンダーハンドパスとオーバーハンドパス
・世界陸上ドーハ2019年男子4×100mリレー決勝の結果と総括
オリンピックや日本選手権では記録も大事なのですが、なにより勝負で勝つことがとても大事になってきます。
100mでは日本人選手は惜しくも予選敗退でしたが、フラットレースと違い、自らのタイミングでスタートがきれるリレーでのメダル獲得を期待しています。