2019年9月15日、東京五輪のマラソンコースとほぼ同じコースを採用し、マラソンのオリンピック代表選考レースであるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が開催されました。
男女各3枠の代表枠のうち、各2名が内定しました。
今回は、残り一枠の代表争い、果たして男女マラソンは東京オリンピックで金メダルを取れるのかというテーマで記述していきたいと思います。
男子マラソン
MGC男子代表が決定!
残り一枠の代表争い、果たして男子マラソンは東京オリンピックで金メダルを取れるのでしょうか。
中村 匠吾(富士通)
1人目の男子代表は、富士通所属の中村選手です。
中村 匠吾(富士通)MGC優勝タイム2:11:28
駒沢大学時代には箱根駅伝にも出場し、1区で惜しくも区間賞とはいきませんでしたが、区間2位を獲得しているスピードランナーです。
Honda所属の設楽悠太が中盤まで独走状態を保ち、一時は2分以上も差がついたレース展開となりましたが、中村選手は2位集団の中でトップを虎視眈々と狙っていました。
何と言っても、MGCでは中盤の粘り勝ちと言った感じがありました。
服部 勇馬(トヨタ自動車)
男子代表2人目 服部 勇馬(トヨタ自動車)MGCタイム2:11:36
日本記録保持者の大迫傑との壮絶なデットヒートを制して代表権を獲得しました。
42㎞付近の最後の難所である神宮外苑に入る上り坂で勝負が決まりました。
服部選手は、試走を繰り返し行いレースのカギはここになると思っていたようです。
MGCはまさに作戦勝ちといったところでしょう。
女子マラソン
MGC女子の代表が決定!
残り一枠の代表争い、果たして女子マラソンは東京オリンピックで金メダルを取れるのでしょうか。
前田 穂南(天満屋)
女子代表1人目 前田 穂南(天満屋)MGC優勝2:25:15
女子のマラソン代表を何人も輩出している名門、天満屋所属の前田選手ですが、選考レースにうまくピーキングし、調子を合わせてきました。
天満屋陸上部の監督である武富豊監督は、狙ったレースに確実に合わせてくる勝負勘がひかる監督です。
まさにMGCはチーム一丸の勝利であるといえるでしょう。
鈴木 亜由子(日本郵政)
女子代表2人目 鈴木 亜由子(日本郵政)MGCタイム2:25:15
国立の名門である名古屋大卒業で、高校時代からスピードに定評のあるまさに文武両道の鈴木選手が女子2人目の代表に内定しました。
鈴木選手の特徴はなんといってもスピードです。
マラソンの他に1万mでも日本代表になってことのある鈴木選手だけに、MGC後半の走りはまさに異次元でした。
MGCはまさにスピードでの代表内定です。
代表残り一枠は誰の手に
MGCでは男女上位2選手に東京五輪内定がでますが、残り一枠は男子が2時間5分49秒、女子が2時間22分22秒のタイムを今冬のレースでこの記録を上回る者、もしくはこのタイムを上回れなければMGC3位のものが代表権を獲得します。
男子、女子で最有力候補を紹介します。
男子
男子代表3人目 大迫 傑(NIKEオレゴンプロジェクト)MGCタイム2:11:41
現マラソン日本記録保持者で、MGCで3位に入った大迫選手が男子では最有力です。
MGCでは3位でしたが、日本人選手で一番速い2時間5分50秒です。
そのため、MGCの内定タイムは大迫選手の記録より速いタイムを出さないといけないので、MGC3位の大迫選手が最有力です。
女子
女子代表3人目 小原 怜(天満屋)MGCタイム2:29:06
女子マラソンの日本記録は2005年、野口みずき選手が出した2時間19分12秒以降更新されていません。
また、それ以降2時間22分台で走る選手は現役では、ダイハツの松田瑞穂選手ですが、彼女のベストタイムは2時間22分23秒で2018年に記録したものになります。
そのため、派遣設定タイムを上回ることは極めて難しく、MGC3位の小原選手が有力だと考えられます。
東京五輪でメダルの可能性は?
東京五輪では、男女ともに果たしてメダルの可能性はあるのでしょうか。
まずタイムから考察すると、ケニアやエチオピア勢など男子では2時間1分台、女子では2時間10分台の驚異的な記録を持つ選手がいます。
タイムから考えると非常に厳しい状態にありますが、東京五輪は真夏に開催されます。
先日行われたカタールドーハでの世界陸上では、体感温度40°を超えるとされており、暑さ対策のため深夜にスタートしましたが、それでも冬のマラソンより10分以上遅いタイムでした。
このようなに環境下ではタイムが参考にならない部分もあり、今回MGCでは冒頭でも述べたように、東京五輪とほぼ同様のコースで行われています。
つまり選手たちは予めオリンピックコースを1度試合で走っており、レース戦略も非常に立てやすい状況にあります。
このような状況を勘案し、男子では日本記録保持者の大迫傑選手や、女子ではMGC1位の前田穂南選手などが十分にメダルの可能性があると考えていました。
しかし、なんと!東京五輪まで残り1年を切った中、競歩とマラソンの会場が札幌に変更になりました。
札幌開催は日本人選手にとって有利か?
では、札幌開催は日本代表選手にとってどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット
まず、メリットは気温が東京よりも気温が低いということです。
代表に内定した服部選手や、まだ内定を得ていないですが、現マラソン日本記録保持者の大迫選手などはスピードレースに強い選手だと言われているので、気温の低い札幌開催の方が有利だと言えるでしょう。
そして、先日のドーハ世界陸上では、何と言っても男子20km競歩と50km競歩で日本人選手が金メダルを獲得しました。
マラソンに注目が集まりますが、競歩の選手にとっても涼しい環境の中でレースができるのは他国選手と条件が同じですが、日本人選手にとっても有利になることは間違いありません。
デメリットは?
では札幌開催でのデメリットはなんでしょうか。
札幌開催では、まず地の利を生かせないことがあります。
東京開催の場合、内定している男女マラソン2選手は既にMGCで五輪マラソンコースとほぼ同じコースをレースで走っています。
通常、五輪のマラソンコースは特設コースであることが多く、通常の五輪では本番のレースで初めてコースを走ることが多いのですが、今回MGCで既にレースを走っていますので、どの場面でスパートすれば良いのかなどのコース予想が容易になります。
また、競歩について言えば今日本が一番強い種目です。
ドーハの世界陸上、男子20km、50km競歩で金メダルを獲得した、2選手も過酷な暑さを制して優勝した経緯があり、もちろん競歩も涼しい方が良いとされているのですが、日本人選手にとって暑い方が有利なのではないかとの声も逆にあります。
こちらの方は札幌開催のデメリット・メリットが双方あるのでなんとも言えないと思います。
札幌開催でも、日本開催ということは変わりありません。
男女マラソン東京五輪での日本人のメダル獲得は十分可能だと思います。
選手の皆さんにはぜひ頑張ってもらいたいです。