いよいよ東京オリンピックが行われる2020年が近付き、各競技で熾烈な代表争いが繰り広げられています。
今回はその中でも、日本のお家芸といえばコレ!大量メダル獲得の期待がかかる、柔道について触れていきたいと思います。
まずはルールや階級区分など、基本的な部分からおさらいをしていきましょう。
柔道の基本ルール
・規定時間内において、「技あり」「一本」のスコアによって勝敗が決定
・消極的な姿勢や反則行為などによって「指導」が与えられる(ただし「指導」の差だけでは勝敗は決まらない)
・「指導」の累積が3になると、反則負けになる
・4分間で決着がつかなかった場合、時間無制限の延長戦(ゴールデンスコア、GS)が行われる。「技あり」「一本」のスコアを先取するか、「指導」の累積が3になった時点で試合終了
ここまでは御存知の方が多いと思いますが、「一本」と「技あり」の違いって何?という疑問を持たれる方もいらっしゃると思うので、説明しておきます。
「一本」と「技あり」の違い
■一本
一本とは、まず投げ技で
①相手を制す
②背中を畳につける
③強さ
④速さ
4つの要素を満たしたときに判定されます。
抑え込みの場合は、20秒間相手を抑え込むことで一本と判定されます。
■技あり
技ありとは、一本の判定基準には届かないが、相手に対して効果を与えたものです。
具体的には、先に挙げた4つの要素のうち、2つ以上を満たすことが条件になります。
抑え込みの場合は、10秒間相手を抑え込むと「技あり」の判定が付きます。
「技あり」は2つとると「合わせ技一本」となります。
試合を観戦中、今のはどうして「一本」じゃないの?と疑問に思ったら、スロー映像などでよく確認してみてください。
背中ではなく片方の肩(半身)しか畳についていなかったということがよくあります。
近年、柔道においてはルール改正が頻繁に行われていますが、その多くは積極的で攻撃的な柔道を重視するものです。
ぜひ観戦していて盛り上がる・迫力満点の柔道であって欲しいものですね。
柔道の階級について
オリンピック柔道競技では、個人戦は次の階級に分けられます。
男子→60㎏、66㎏、73㎏、81㎏、90㎏、100㎏、100㎏超の各階級
女子→48㎏、52㎏、57㎏、63㎏、70㎏、78㎏、78㎏超の各階級
ここまでは前回リオデジャネイロオリンピックでも同じだったのですが、今回東京オリンピックでの大きな見どころの一つとなるのは、初の開催となる「男女混合団体戦」です。
これは女子57㎏、男子73㎏、女子70㎏、男子90㎏、女子70㎏超、男子90㎏超の各階級から選ばれた6名による団体戦となります。
団体戦は
一本勝ち・不戦勝・相手の棄権による勝利→10点、
技ありでの優勢勝ち→1点、
指導差の勝利→0点、
とポイントが付けられるため、単純な勝敗だけでは決まらないという面白さがあります。
6試合して同じ3勝同士であっても、Aチームは一本勝ち3つ・Bチームは一本勝ち2つ+優勢勝ち1つだった場合、Aチームの勝利となるのです。
勝てばそれでいいということではなく、その内容までもが問われるため、選手のプレッシャーや意気込みも相当なものになると思われます。
まさに日の丸を背負っての大勝負なのです。
この団体戦、階級は先に挙げましたが、試合順は上記の並びではなく、抽選となります。
その理由が「軽量級から順に試合を行ったら、軽量選手に世界王者の多い日本は早々と勝負がついてしまい、面白くなかった」という、2017~2018年の世界大会の教訓だそうです。
日本人としては少し誇らしいような気もしますね。
代表は誰に?勝負は2019年世界選手権!
さて、ルールや階級について触れてきましたが、皆さんが一番気になるのは「いったい誰が代表選手になるの?」ということでしょう。
代表選手の選考については、過去に「不透明である」という指摘を受けてか、ある程度の基準が公表されています。
世界選手権に優勝する→グランドスラム東京で優勝という連覇を果たすと、翌年の世界選手権に出場が内定します。
この2回目にあたる2019年世界選手権に日本代表として出場し、結果を残すことが大きな選考基準となるのです。
現在、2019年世界選手権出場が内定しているのは、女子52㎏級の阿部詩選手・女子70㎏級の新井千鶴選手の2名しかいません。
この2選手が東京オリンピック日本代表に最も近いと言えるでしょう。
残る有力選手たちは予断の許せない状況です。
出場権を巡っての争いが続いています。
まずはグランドスラム(パリ、デュッセルドルフ、エカテリンブルグ)の結果が注目されます。
ここで結果を出さないことには、世界選手権への出場は厳しいものになるはずです。
大注目は兄妹出場が期待される男子66kg級の阿部一二三選手に加え、バルセロナオリンピック銀メダリストを父に持つ、男子100kg超級の小川雄勢選手。
女子では48kg級の近藤亜美選手と渡名喜風南選手の争い、78kg超級の朝比奈沙羅選手vs素根輝選手の女王対決など。
日本代表の行方を占う2019年世界選手権は、8月25日~9月1日まで、東京武道館で行われます。
本番である東京オリンピックと同じ場所で開催されるこの大会、最大のキーポイントになることは間違いありません。
まとめ
間近に迫ってきた2020東京オリンピック・柔道競技。
果たして代表は誰の手に渡るのか、そして表彰台で日の丸を掲げるのは誰になるのか?
頭ひとつ抜け出した選手も、混戦模様・激戦区を戦う選手も、それぞれが代表の座と柔道大国日本の威信をかけて熱い戦いを繰り広げる2019年、大注目です!
(uo)