長距離走の選手に対する世間のイメージといえば「きつそう」、「真面目そう」ではないでしょうか。
それは大体間違っていません。長距離を走るのはもちろんしんどいですし、単調な練習は真面目でないと耐えることはできません。
これらは尊敬の対象であると同時に「つまらなさそう」とか「排他的」とか負のイメージも与えてきました。
しかし、ある人の出現でこのイメージは変わりつつあります。
その人こそ青山学院大学の駅伝監督、原晋さんです。
原晋監督とは
青山学院大学の原晋(はら すすむ)監督は、テレビでもおなじみなので、陸上競技を知らない人でも知っている方は多いのではないでしょうか。
最近はスポーツ番組だけでなく、バラエティでもよく見ますね。
『徹子の部屋』のようなトーク番組にも出演するなど監督というよりタレントです。
本当に学生の指導をしているのか不安になるような原監督ですが、しっかり成果は出しています。
学生最大の大会と言われる箱根駅伝では2015年から2018年まで4連覇。
2019年は惜しくも2位でしたが、就任前は予選会通過すらできなかったチームを常勝軍団まで仕立て上げた手腕はさすがの一言ですね。
原監督と青山学院が変えた長距離走のイメージ
さて、本題に移りましょう。
冒頭の通り、長距離走のイメージには「つまらなさそう」、「排他的」というものが一般的でした。しかし、この原監督はどうでしょうか。
バラエティでは歯に衣着せぬ物言いで、競技についてぶっちゃけて笑いに変えました。
また青山学院大学は大会のたびにスローガンを設けマスコミに発表するのですが、それが思わず笑ってしまうようなものなのです。
第92回箱根駅伝(2016年1月)「ハッピー大作戦」
第93回箱根駅伝(2017年1月)「サンキュー大作戦」
第94回箱根駅伝(2018年1月)「ハーモニー大作戦」
第95回箱根駅伝(2019年1月)「ゴーゴー大作戦」
もちろんそれぞれ由来はあるのですが、ハッピーやゴーゴーなどシリアスさがなく、楽しそうですね。
これを見て「真面目そう」とは思わないでしょう。
ふざけているように見えますが、しかし学生トップのチームであり続けるのです。
明るいチームづくり
学生日本一であるということは、毎日厳しい練習を積み重ねているわけですが、青山学院はこれに対して悲壮感がありません。
原監督のチームづくりだと思うのですが、選手もまた個性的です。
『オールスター感謝祭』などのテレビ番組に、現役選手やOBが出演したり、SNSでも積極的に発信します。
今までの長距離走選手のイメージは練習漬けの毎日で修行僧のような感じでしたが、彼らの行動はその真逆です。
長距離走をエンターテイメント性のあるスポーツに
これまでのイメージと真逆のことを繰り返している原監督ですから当然批判も浴びています。
「テレビに出すぎ」「調子にのっている」「本業をおろそかにするな」など。
しかし、当の本人は「競技の発展のためにやっている」と主張します。
つまり、もっと長距離走を身近に感じ、多くのファンを獲得できるコンテンツにする。
そのためにテレビに出て、面白そうと思って貰いたいという願いがあるそうです。
こうした原監督の戦略やキャラクターによって、長距離走は辛く苦しいというイメージから、明るく楽しいというイメージに変わりつつあるように思います。
(oa)